My Poems

2017年7月23日 (日)

青空の下で

青空の下で

 

 

よく晴れた日の正午前(まえ)

原付に乗って北千住方面に南下していた

 

青い空 白い雲

心地よく吹きつける風

 

他には何も感じずに

それらだけを道連れにひた走る爽快感!

 

生きている喜びを実感できたあの貴重なひと時は

記憶の宝石箱にそっと仕舞っておこう

 

 

2017年7月23日

2017年7月16日 (日)

夏の夕べ

夏の夕べ

 

 

店内にクーラーは効いていなかった

昔ながらの扇風機が送ってよこす生暖かい風

 

王子駅近くの小さな中華料理店で早めの夕餉をしたためる

ここの炒飯の味や如何に

 

向かいのテーブル席でこちらに背を向けて

黙々とラーメンを啜っている若い作業服姿の男性

仕事の合間なのか 終わった後なのか

 

カウンター席越しで熱気と油にまみれて立ち働いている

男性スタッフたちの中には

お店のあたりでよく見かける

自転車で出前をしているあのオッチャンもいる

 

ラジオが流れていた

DJとCMが交互に聞こえてくるあの独特の趣

 

今となってはもうはるか昔の追想

暑い晴天の夏の日の夕まぐれ

 

 

2017年7月16日

2017年6月17日 (土)

青い窓

青い窓

 

 

三階作業室の窓辺には人影もなく

青く染まったガラス窓越しに彼方の市街がほの見える

 

上方にはビルメンテナンスの養生の青い覆い

期間限定で光の色を黄から青へと変えている

 

荘厳な教会のステンドグラス

エキゾチックなイスラム陶器の文様

 

外と内とを隔てるこの神秘のコバルトブルーが

わたしの心をそっと夢幻の世界へ誘ってくれる

 

 

2017年6月17日

2017年6月10日 (土)

月と叢雲

月と叢雲

 

 

黄金色したまん丸い月が

真っ暗闇の虚空をほんのりと照らしている

 

あたりに漂う叢雲が

絵画的な風合いを醸し出す

 

月をかすめて叢雲が流れ去る

灯明をよぎる香煙のごとく

 

この静謐で神々しいつかの間の雲隠れが

初夏の夜空にいとも幽遠な趣を添えている

 

 

2017年6月10日

2017年6月 7日 (水)

名主の滝公園

名主の滝公園

 

 

王子駅からてくてく歩くこと10分

趣ある薬医門をくぐって園内に入る

 

濁り切った広い池には水草が生い茂り

大ぶりな鯉が悠揚と泳いでいる

 

落差8メートルの男滝は庭園のシンボル

その轟音と水しぶきが醸し出す爽やかな涼気!

 

林間の起伏に富む小径からは渓谷が望まれ

さながら深山幽谷を逍遥しているかのよう

 

 

2017年6月7日

2017年6月 4日 (日)

招き猫

招き猫

 

 

丈の高さ9センチ

白い小さな縁起物

 

赤い首輪に金の鈴

右前あしで招きのポーズ

 

そういえば 近年とりあえず

大厄には見舞われていないような

 

豪徳寺で求めたふっくらとした猫は

今日も棚の上でおすまし顔

 

 

2017年6月4日

2017年6月 2日 (金)

 

 

うっすらとした灰白色の花びらが

音もなく羽ばたいている

 

ひともとの小さな茎のまわりを

軽やかに舞う二対の花びら

 

ふと翅を重ね合わせ

貝殻のように静止しているが

 

やがてまた次なる甘露を求めて

何処とも知らず飛び去ってゆく

 

 

2017年6月2日

2017年5月27日 (土)

手賀沼と女優N

手賀沼と女優N

 

 

その日は薄曇りだった

二十数年前の五月上旬

 

ささやかな野心を抱いてA駅に降り立つ

かの手賀沼を一周するという

 

カツ丼で腹ごしらえをした後

東西に長く伸びた沼に沿った遊歩道を歩き始める

 

海のような壮大さはない

湖のような優美さもない

 

だが向こう岸がよく見えるそのたたずまいに

どこか親しみが湧いてくる

 

黙然と釣り糸を垂れている太公望たち

彼方では一羽のサギが飄然と佇んでいる

 

いつしか夕闇が迫っていた

残りの距離はとても踏破できそうにない

 

いささか挫折感を抱きつつ

歩き疲れた沼を後にする

 

帰宅して新聞を広げると

女優Nの訃報が載っていた

 

今でもNの可憐な面差しが思い出される

あの風情溢れる手賀沼とともに

 

 

 

2017年5月27日

2017年5月21日 (日)

鍵と「野草」と炒飯

鍵と「野草」と炒飯

 

 

 ほんのささやかな出来事が いつまでも記憶の片隅にあって 時折妙に懐かしい思い出となって甦ることがあるものだ

ずっと以前のこと 東北地方のK市の某ビジネスホテルに一泊したことがあった  なぜK市に行ったのか 不思議と思い出せない  私用であったことは確かなのだが

 まだたいそう若く 孤独で 文学を愛していたあの当時のわたし  K駅から町の西部にあるホテルまで歩いていく  折から埃っぽい強風が吹きつけ 決して快適な行路ではなかった

 着いたのはチェックイン前  割と広めのロビーで ゆったりとした茶色いソファーに腰掛けて しばらく待たねばならなかった  バッグから一冊の薄い文庫本を取り出して読み始める  魯迅の「野草」  たまたま所持していたのだが この近代中国文学の父のものした散文詩は いたく読みごたえがあった

 部屋に入ってからどのようにして過ごしたかは とんと忘れてしまったが 深夜 おそらくはドリンク類を自販機で購入しようとして 廊下へ出たのだった  ありがちなことだが 鍵を部屋の中に置いたまま オートロックがかかってしまい 入ることができなくなってしまった  フロントへ行き 夜勤のおじさんに合いカギを所望  少しく苦笑いしながらも 快く部屋まで同行してくれた

 翌日 K駅近くの飲食店街で食事をしたためる  何にするか多少迷ったが やはり中華料理店で 大好きな炒飯をオーダー  味 量ともに満足のいくものだった

 こんなふうにしてK市での二日は過ぎていった

 取り立てて言うほどのドラマが起こらなかったにもかかわらず 時々思い起こすのはなぜだろう?

 このあいだ「野草」をもう一度読んでみた  やはり素晴らしい  改めて魯迅の文学的才能に脱帽した

 炒飯は今でも時々食している  この好物はこれからも付きまとうだろう

 この不思議な懐旧は 若さと 詩情と 美味がないまぜになった ほろ苦い青春のノスタルジーなのかもしれない

 

 

2017年5月21日

2017年5月20日 (土)

五月のブールヴァール

五月のブールヴァール

 

 

初夏五月の昼下がり

七月並みの暑さの中を歩いていく

 

長いこと日陰がない

体が涼気を欲している

 

ようやく馴染みの並木道に差しかかる

一直線に整然と並んでいる街路樹たち

 

こないだまで冬枯れしていたのに

いつのまにか新緑を呈している

 

季節の移り変わりの確かさ

時の流れの速やかさ

 

黒黒とした影が歩道を覆い

ところどころ黄色い木漏れ日がちらついている

 

このブールヴァールを歩むにつれ

体のほてりが遠のき 足取りも軽くなってきた

 

つややかな緑は目を楽しませ

暑気をやわらげる木陰は体を癒してくれる

 

美観と有用性を兼ね備えた並木道こそ

歩行者のオアシス

 

生い茂る緑の葉むらが

通り過ぎる人々に 大いなる恩恵を施している

 

 

 

2017年5月20日

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