フランドル絵画

2013年9月 1日 (日)

浴室のバテシバ (メムリンク)

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沐浴中の美しいバテシバにダビデが一目惚れして、後に妻としソロモンを授かった、という旧約聖書中の有名なエピソードは多くの画家たちによって描かれましたが、ハンス・メムリンク(ベルギー 1433頃~94)の『浴室のバテシバ』(1485年 油彩・板 192×85㎝ シュトゥットガルト美術館)は、場景を浴室内に設定している点で極めてユニークなものとなっています。

画面左上にダビデが小さく描かれていますが、いかにもメムリンクらしい温雅な風合いを持つ作品に仕上がっています。

2013年8月31日 (土)

ミルクスープのマドンナ (ダヴィッド)

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『ミルクスープのマドンナ』(1513年頃 油彩・板 35×29㎝ ブリュッセル王立美術館)は、ダヴィッド(オランダ 1460頃~1523)が描いた数多くの聖母子像の中でも特に有名なものです。

この画面に見られる親しみやすい静物の中にはシンボリックなものもいくつかあり、例えばミルクはマリアの慈悲を、パンは最後の晩餐を、そしてリンゴは罪の超越を表しているようです。

2013年8月15日 (木)

聖アントニウスの誘惑 (パティニールとマサイス)

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『聖アントニウスの誘惑』(1524年頃 油彩・板 155×173㎝ マドリード、プラド美術館)は、ヨアヒム・パティニール(ベルギー 1480~1524)とクェンティン・マサイス(ベルギー 1466~1530)の共同制作です。

主として風景をパティニールが、人物をマサイスが描いたと言われています。

砂漠で隠遁生活をしている聖アントニウスが悪魔の執拗な誘惑に抗している姿が、歓楽の巷で遊興にふける男性として描かれていますが、パティニールの幻想的かつ神秘的な風景に包まれて見ごたえのある作品に仕上がっています。

2013年8月 3日 (土)

キリストの洗礼 (パティニール)

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『キリストの洗礼』(1515年頃 油彩・板 60×76㎝ ウィーン美術史美術館)は、ヨアヒム・パティニール(ベルギー 1480~1524)の代表作の一つです。

この作品においては、前景にはキリストの洗礼、後景にはバプテスマのヨハネの民衆への説教という風に、二つの異なる場面が描かれています。

2013年7月10日 (水)

老婦人の肖像 (メムリンク)

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ハンス・メムリンク(ベルギー 1433頃~94)は15世紀フランドル絵画を代表する画家の一人で、主として宗教的主題の作品を制作しましたが、世俗的な肖像画にも優れ、多くの佳作を残しています。

『老婦人の肖像』(1475年頃 油彩・板 35×29㎝ パリ、ルーヴル美術館)もその一つで、画面いっぱいにクローズアップされた婦人の胸像が風景を背景にして個性豊かに描かれています。

2013年6月16日 (日)

エジプト逃避中の休息 (パティニール)

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ヨアヒム・パティニール(ベルギー 1480~1524)は、先達のルーカス・ファン・ライデンとロヒール・ファン・デル・ワイデンの聖母マリア像を参考にして、この『エジプト逃避中の休息』(1520年頃 油彩・板 121×177㎝ マドリード、プラド美術館)を描きました。

画面左側には水を汲んで戻って来るヨセフの姿が、その上方にはエジプト逃避の旅の終着点である異教の神殿が描かれていますが、これら点景を含んだ風景描写からは、パティニールの熱心なフランドル絵画の研究がうかがわれます。

2013年6月 2日 (日)

カナの婚宴 (ダヴィッド)

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イエスがただの水をブドウ酒に変えたという、福音書に見られる最初の奇跡のエピソードは、キリスト教絵画のテーマとしてよく描かれましたが、ダヴィッド(オランダ 1460頃~1523)の描いた『カナの婚宴』(1509年頃 油彩・板 100×128㎝ パリ、ルーヴル美術館)にはフランドル絵画特有の穏和さと親しみやすさが感じられます。

前景両脇に跪いている男女はこの作品を依頼したさるカスティリャ出身でブリュージュに定住していた夫妻で、背景に見える建物は実際のブリュージュのものを写しているようですが、全体として聖餐式を思わせるような穏やかな雰囲気に満ちています。

2013年5月13日 (月)

聖クリストフォルス (パティニール)

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ヨアヒム・パティニール(ベルギー 1480~1524)の描いた『聖クリストフォルス』(制作年不詳 油彩・板 100×150㎝ マドリード近郊、エル・エスコリアル修道院)の中で幼児キリストを背負い、樹幹を杖にして川を渡っている髭面の巨人、聖クリストフォルスは、カトリック教会「14救難聖人」の一人です。

この画面に描かれている想像的風景は、後のネーデルランド絵画の風景描写に決定的な影響を及ぼしました。

2013年4月11日 (木)

火の試練 (バウツ)

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『火の試練』(1473年頃 油彩・板 324×182㎝ ブリュッセル王立美術館)は15世紀フランドル絵画の巨匠デーリィック・バウツ(ベルギー 1410頃~75)の代表作の一つです。

この作品はルーヴァン市から依頼されて描いた4枚のパネルのうちの一つで、皇后のいわれなき中傷によって斬首の刑を受けたさる伯爵の未亡人が、皇帝オットー3世(在位983~1002)の前で亡夫の首と灼熱した鉄片を持って亡き夫の無罪を主張している場面です。

この神盟裁判によって伯爵の無罪潔白が証明され、皇后は火刑に処せられるのですが、そのシーンが背景に描かれています。

2013年4月 4日 (木)

冥府の川渡し (パティニール)

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『冥府の川渡し』(1522年頃 油彩・板 64×103㎝ マドリード、プラド美術館)は、ヨアヒム・パティニール(ベルギー 1480~1524)の描いた傑作です。

この作品の主題については古典神話とキリスト教図像が融合されたものになっていて、中央を流れるアケロン川で、黄泉の国の死者の魂の渡し守であるカロンが小さな魂を乗せた渡し舟をこちら側に漕いで来ています。

「最後の審判」の構図に倣って左側に天国が、そして右側には地獄の風景がパティニールらしい幻想的、怪奇的イメージで描かれています。