ロシア絵画(作品別)

2013年9月 9日 (月)

ロシア。民族の魂 (ネステロフ)

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『ロシア。民族の魂』(1916年 油彩・カンヴァス 206×484㎝ モスクワ、トレチャコフ美術館)は主としてロシアの宗教的歴史画を制作したミハイル・ネステロフ(ロシア 1862~1942)の作品群の中でも特に有名なものです。

母なるボルガ川の岸辺で多種多様なロシア人たちが、おそらくは祖国ロシアの未来の化身たる少年に先導されて行進していますが、その中には皇帝、司祭、巡礼者、聖愚者、修道士、修道女、農民、第一次世界大戦で毒ガスによって失明した若い兵士等がおり、右側にはトルストイやドストエフスキーの姿も見えます。

公爵令嬢タラカノワ (フラヴィツキー)

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コンスタンチン・フラヴィツキー(ロシア 1830~66)はペテルブルグの帝室アカデミーに学び、ローマにも留学し、ブリュローフの創作活動に大いに刺激された画家でしたが、この『公爵令嬢タラカノワ』(1864年 油彩・カンヴァス 245×188㎝ モスクワ、トレチャコフ美術館)は彼の最高傑作として知られています。

伝説によると18世紀の半ば、女帝エリザヴェータ・ペトローヴナの私生児として皇位継承を主張したエリザヴェータ・タラカノワは、エカテリナ2世によってサンクト・ペテルブルグのペトロパヴロフスク要塞に監禁され、1777年の洪水によって死亡した、ということですが、この洪水の場面をドラマチックにロマン派的情調を込めて描いたのが本作品です。

ウラジーミル街道 (レヴィタン)

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ロシア風景画の巨匠イサーク・レヴィタン(ロシア 1860~1900)の作品の多くは自国の自然をテーマにしていますが、この『ウラジーミル街道』(1892年 油彩・カンヴァス 79×123㎝ モスクワ、トレチャコフ美術館)もその一つです。

茫漠とした平原を通っている一本の街道が描かれていますが、かつてこの道を通って受刑者がシベリアの流刑地に送られていったことを思うと、より一層の悲哀感が湧いてきます。

モスクワの中庭 (ポレノフ)

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ヴァシリー・ポレノフ(ロシア 1844~1927)はペテルブルグ大学に通うかたわら美術アカデミーでクラムスコイらに師事し、イタリア、フランス、ドイツ、エジプト、ギリシア等を遍歴しました。

『モスクワの中庭』(1878年 油彩・カンヴァス 65×80㎝ モスクワ、トレチャコフ美術館)はポレノフの作品群の中で最もよく知られているもので、当時アルバート地区にあった救世主教会の伽藍や納屋、荒地で遊ぶ子供たちやバケツを持った女性、そしてヒナギクを初めとする植物群等の描写に、画家の温かいまなざしが感じられます。

月夜のドニエプル川 (クインジ)

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アルヒープ・クインジ(ロシア 1842~1910)の『月夜のドニエプル川』(1880年 油彩・カンヴァス 105×144㎝ サンクト・ペテルブルグ、ロシア美術館)は発表されるや、クラムスコイを初めとする多数の人々から熱狂的賞賛を得ました。

画面の上半分を占める夜空に浮かんだ月と、その光を映して悠然と流れるドニエプル川が印象的で、「光の画家」と呼ばれたクインジの真骨頂を示す美しい夜景が描出されています。

2013年9月 8日 (日)

雪解け (ワシーリエフ)

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『雪解け』(1871年 油彩・カンヴァス 54×107㎝ モスクワ、トレチャコフ美術館)はロシア美術史上でも屈指の風景画家であるフョードル・ワシーリエフ(ロシア 1850~73)の代表作の一つです。

荒涼としてもの寂しい風景の中の点景として旅人と子供が描かれていますが、その前にある道と雪解け水の交差は、あたかも人生行路とそれに立ちふさがる困難を象徴しているようにも見えます。

室内にて (ゼレンツォフ)

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『室内にて』(1820年代末 油彩・カンヴァス 37×46㎝ モスクワ、トレチャコフ美術館)はカピトン・ゼレンツォフ(ロシア 1790~1845)の室内画の代表作の一つです。

風俗画家としての彼は師のヴェネツィアーノフの画風を忠実に受け継ぎましたが、本作品においては都市型の邸宅内での心地よい室内情景が、アカデミックな画法で写実的に描かれています。

クレムリンの寺院広場 (アレクセーエフ)

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フョードル・アレクセーエフ(ロシア 1753~1824)は1800年に美術アカデミーから依頼されて一連のモスクワの水彩画を描きましたが、後にそれらを基にして油彩画ヴァージョンをも制作しました。

『クレムリンの寺院広場』(19世紀初め 油彩・カンヴァス 82×112㎝ モスクワ、トレチャコフ美術館)もそれらの中の一つで、イワン大帝の鐘楼やウスペンスキー寺院等、クレムリンの中心をなすサボールナヤ(寺院)広場に位置するさまざまな建築物が、18世紀から19世紀への変わり目に生きる人々の風俗と共に写実的に描かれています。

田舎道 (サヴラーソフ)

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『田舎道』(1873年 油彩・カンヴァス 70×57㎝ モスクワ、トレチャコフ美術館)はアレクセイ・サヴラーソフ(ロシア 1830~97)の代表作の一つです。

サヴラーソフは詩的情感を湛えた風景画を描いた先駆者の一人で、その作風は弟子のレヴィタンによって受け継がれ大成されました。

祖国ロシアのありふれた農村や大地を詩情を交えて描くというサヴラーソフの特徴が、この作品からも十分に感じられます。

2013年9月 7日 (土)

息子の亡きがらとイヴァン雷帝 (シヴァルツ)

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『息子の亡きがらとイヴァン雷帝』(1864年 油彩・カンヴァス 71×89㎝ モスクワ、トレチャコフ美術館)はロシア歴史絵画の創設者といわれるヴャチェスラフ・シヴァルツ(ロシア 1838~69)が、些細なことから息子をあやめてしまった雷帝がその遺体のそばで虚脱したように座っているシーンを描いたもので、16世紀のロシアの宗教儀式の様子が忠実に再現された興味深い作品となっています。

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