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2017年1月

2017年1月28日 (土)

星と商店街

星と商店街

 

 

駅への道すがら ほの明るい商店街を通る

 

ふと見上げると

漆黒の冬空に 星がひとつ きらきらとまたたいている

 

あの光は はるか遠い昔に 星が発したもの

 

この地上と かの星との間(あわい)

それは とてつもなく長い時間 光年 の世界なのだ

 

しばし 無限なる宇宙に 思いを馳せる

 

それに引き換え

この世の営みの 何と目まぐるしいことか

 

そういえば

以前このあたりにあった喫茶店が 姿を消している

 

店内には ルノワールの描いた可憐な少女像が飾ってあった

 

あと百年も経てば

この商店街も 相当に様変わりしていることだろう

 

もはや これらの人々も世を去り…

もちろんこの私も…

 

そんなことを思っているうちに

いつしか 駅の雑踏の中に 紛れ込んでしまっていた

 

 

2017年1月28日

2017年1月 8日 (日)

夜の光

夜の光

 

 

冬の夜

線路沿いの小道を歩きながら

ふと寒空を見上げると

星がひとつ 煌々と輝いている

 

半月も幾分明るさを増しているようだ

 

闇の中を通り過ぎる列車は

車体こそ朦朧としているが

流れゆく車窓からは まぶしいほどの光が放たれている

 

真っ暗な公園のそばにある

駐輪場の小さな管理人室とおじさんが

淡い光の中に ぼんやりと浮かび上がっている

 

駅に近づくと

闇よりも光のほうが勝ってくる

 

駅の構内に入ると もう闇はない

 

だがプラットホームに降り立ち 外に目をやると

またしても 光と闇のコントラスト

 

電車が到着し 幾人かの乗客と共に乗り込めば

明るく暖かい車内と 人々のざわめき

 

こうして私は 今夜も

様々な光を感じ 様々な光に導かれつつ

通い慣れた家路につく

 

2017年1月8日

2017年1月 7日 (土)

さら地

さら地

 

 

一軒の古い家が取り壊されて

さら地が出現した

 

切り株が一つあるほかは

黒黒とした地面に いのちの気配はない

 

かつて存在した 家屋も住人も

もはや影も形もなくなってしまった

 

これは 原初への回帰である

 

大昔 ここは原っぱだったに違いない

 

いつしか人が家を建て 長らく居住していたが

ついに老朽化して壊され

今あるのは 土と切り株だけだ

 

早晩ここも 建物や駐車場に変わることだろう

 

だがやがて それらもまた消え去り 土が現れ…

 

冬の冷風が撫でている

むき出しになったさら地

 

空しく繰り返される人為のはざまで

ふと顕現した 地上の原初の姿

 

 

 

 

 

 

2017年1月7日

2017年1月 2日 (月)

冬木

冬木

 

 

高層団地の中庭に

ひともとの落葉樹が立っている

 

今は冬枯れの季節

 

すっかり葉を脱ぎ捨て

枝と幹だけになった

もの寂しげな冬木

 

だが忘れてはならない

新たな季節が巡ってくることを

 

春ともなれば

この木も そこかしこから

みずみずしい若葉を生じさせ

緑の衣をまとうことだろう

 

そして夏から秋へと季節が移りゆき

黄褐色になった衣を再び脱ぎ捨てるのだ

 

この木には 密やかな叡知が宿っている

自然の摂理に従って生きねばならぬという

 

ひっそりと 黙して語らぬひともとの冬木

 

今 この中には大いなる生命力が潜んでいる

 

 

 

2017年1月2日

2017年1月 1日 (日)

公園のベンチ

公園のベンチ

 

 

いつもそばを通る小さな公園にある

一脚の古びたベンチ

 

横木に塗られたペンキがかなり剝げ落ち

長い年月を感じずにはいられない

 

ある時は スマホをいじる顔見知りの青年が

またある時は カップ麺を啜る呑気そうな若者が

このベンチに腰掛けていた

 

一体 今までに

どれだけの人々が ここに腰を下ろしたことだろう

 

いかに多くの尻を受け入れてきたことか

 

子供の柔らかい尻

青年の硬く引き締まった尻

うら若い美女の艶麗な尻

老人のしなびた尻

 

分け隔てなく 誰の尻をも拒まないこのベンチは

いたって寛容で フレンドリーだ

 

おすまし顔したオフィスの椅子などとは

およそ次元を異にする

 

親愛なるベンチよ

これからも そこにいて

多種多様な尻を載せておくれ

 

そして この公園を訪れる人々の心身を

十分に憩わせておくれ

2017年1月1日

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