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2016年8月13日 (土)

夏の窓

夏の窓

 

 

ある夏の日の昼下がり

旧安田庭園を散策したことがあった

 

ふと南方に目をやると

古びた小ぶりの木造家屋の二階の窓が

開け放たれた格好で

樹木の向こうに見えていた

 

窓枠を額縁として

小さな首振りの扇風機 古風な書棚

天井から吊り下がって鈍い光を放っている蛍光灯などが

収まっている

テレビやラジオの気配はなかった

 

扇風機が回っているところを見れば

もちろんそこに誰かいるのだろうが

その姿はこちらからは見えない

ひと時 あるイメージが脳裏をよぎる…

 

ひとりの中年男性がいて この暑い夏の日の午後

扇風機の風を感じつつ シャツ姿で熱心に読書している

 

ささやかな休日の慰安…

 

彼が 物を食ったり

仰向けに寝そべっているだけとは思えなかった

不思議と 熱心に書物を読む姿だけが 浮かび上がってくる

窓の向こうの 想像の世界ではあったが

無性にそう捉えたかった!

 

庭園の片隅に見える つつましやかな窓

ある暑い夏の日に抱いた 忘れがたき残照…

 

 

2016年8月13日

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