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2012年4月10日 (火)

コフェテュア王と乞食娘(愛しの名画たち 4)

Photo_7エドワード・バーン=ジョーンズ(イギリス、1833~98)は、ラファエル前派の中でもロセッティと並んで有名な画家ですが、この『コフェテュア王と乞食娘』(1884年 油彩 290×136㎝ ロンドン、テート・ブリテン)は、彼の代表作ともみなされているものです。

この作品のテーマは、エリザベス朝時代のバラッドに基づいてテニスンが作った『乞食娘』という詩によるもので、完全無欠な妃を娶ろうとして国中を探し求めていたアフリカの王が、ついに見つけたのは純真な乞食娘で、彼は王冠を捨ててでも彼女の愛を得ようとした、という内容です。

この絵の中の主役は夢見るようなまなざしをしている乞食娘ですが、彼女はコフェテュア王よりも上位に座し、王はそれに敬意を表するがごとく、下位に座して宝石のちりばめられた王冠を脱いでいます。

愛は身分の違いを克服する、という考えや、親友ウィリアム・モリスが支持していた平等主義等が反映されているようです。

バーン=ジョーンズという画家は、初期イタリア・ルネサンスの巨匠たち、とりわけボッティチェリとマンテーニャの影響を強く受けていますが、それ以外にも当時イギリスを席巻していたモリスのアーツ・アンド・クラフツ・ムーヴメントやロセッティらの美点を自らの作品に取り入れ、優れた絵画やタペストリーを数多く創作しました。

私もこの作品はテート・ブリテン(旧・テート・ギャラリー)で見ましたが、保護ガラスがやたらと反射して、細部まで十分鑑賞しきれず遺憾だった、という記憶があります。

それはともかく、この作品が作者バーン=ジョーンズの本領を遺憾なく発揮した最良のもののひとつであることは認めざるを得ないでしょう。

ラファエル前派らしい過去への憧憬や、凝った装飾的な意匠等から感じられるこの作家独特の神秘的、ロマン的な雰囲気が横溢している名作だと思います。

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