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2012年4月23日 (月)

書斎の聖ヒエロニムス(愛しの名画たち 6)

アントネロ・ダ・メッシーナ(イタリア、1430頃~79)は、その名の通り、シチリア島のメッシーナに生まれ、ナポリでコラントニオという師について学びましたが、この『書斎の聖ヒエロニムス』(1475年頃、油彩 板 46×36㎝ ロンドン、ナショナル・ギャラリー)という絵を見てもわかるように、精緻なフランドル絵画の影響を強く受けました。

私がロンドンでこの絵を見た時の第一印象は、「なんと小さい絵だろう!」というもので、いくら近づいて見ても(と言っても限度はありましたが)、そのディテールが十分把握しきれないもどかしさを覚えました。

ヒエロニムスという聖人(4世紀)は、四大教父のひとりで(他の三人はアウグスティヌス、アンブロジウス、グレゴリウス)、聖書をラテン語に翻訳し、釈義した学者でもあります。

Photo
この人は荒野洞窟で苦行する姿で描かれることも多いのですが、ここでは枢機卿帽をかぶって僧房で読書しているようです。

彼のまわりにある様々なアイテムの中には、不死を表す孔雀や、棘を抜いてやったライオン(中景・右)など、象徴的なものも含まれています。

それにしても、棚に置かれた物品や床の装飾、そして彼方に望まれる風景等、どれをとってみても、その異様に細かい描写には脱帽するしかありません。

アントネロは、ミラノやヴェネツィア、そして郷里のメッシーナ等を活躍の舞台としましたが、とくにヴェネツィアでは、そのフランドル絵画風の精細な描法や空間把握、そして明暗表現などが、後のヴェネツィア派に決定的な影響を与えました。

本作品は、そのような彼の特質がいかんなく発揮された代表作と言えるでしょう。

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