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2012年4月29日 (日)

キリストの洗礼(愛しの名画たち 7)

『キリストの洗礼』(1450年代 テンペラ ポプラ材 167×116㎝ ロンドン、ナショナル・ギャラリー)は、ピエロ・デラ・フランチェスカ(イタリア、1415/20頃~1492)の初期の傑作です。

この作品は、ピエロの生地ボルゴ・サンセポルクロの修道院内の聖ヨハネ(バプテスマのヨハネ)の礼拝堂のポリプティック(4枚以上のパネルからなる衝立状の宗教画)の一部で、ヨルダン川のほとりで弟子であるキリストに洗礼を施す聖ヨハネが描かれています。

キリストの頭上に見える、精霊を象徴する鳩は、付近の雲の形のように短縮されて描かれていますが、父なる神は、このパネルの上方の円形紋の中に描かれていたのではないか、と言われています。

Photo
左側の三人の天使のうち、右端の天使の左肩には、やがて濡れたキリストの体を拭くであろう布が掛かっていますが、彼女らの服や、画面右手の男性の、これから洗礼を受けるために脱ごうとしている(あるいは、洗礼後に着用しようとしている)チュニックのひだ等が精緻に描写されています。

また、向かってキリストの左腰の後ろに見える町並みは、ボルゴ・サンセポルクロだと見られていて、遠景の風景もこの町周辺の実景をもとにして描かれています。

画面右方の中景に見える人々のうちの一人が鳩のほうを指し示していますが、これはまだキリスト教信仰に入る前の懐疑的段階を示唆し、洗礼後に生まれ変わった新しい命を象徴する若い植物が前景に配されています。

優れた数学者であり、遠近法に関する著作もものしたピエロですが、この絵の中にはそんな彼らしい端正で明晰な構図とともに、どこか明澄で洗練された情緒のようなものも感じられます。

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