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2012年4月18日 (水)

石工の仕事場(愛しの名画たち 5)

カナレット(1697~1768)は、18世紀イタリアの著名な風景画家ですが、彼は都市景観、とりわけ当時のヴェネツィアの光景を数多く描いたことで知られています。

この『石工の仕事場』(1728年頃 油彩 124×163㎝ ロンドン、ナショナル・ギャラリー)という作品も、ヴェネツィアを描いたもので、彼の代表作の一つに数えられています。

時は早朝(前景左端に雄鶏が描かれています)。

処々に見られる石塊は、サン・ヴィダル教会(画面には描かれていない)の新しいファサードのために用立てられたもので、石工たちがそれらを切りさばいていますが、その他もろもろの朝のヴェネツィアの、とあるカンポ(広場)での庶民的な光景が、かなりリアルに描写されています。

Photo
この水の都の住民たちは、子供をなだめたり(?)(前景・左)、井戸から水を汲んだり(前景・中ほどよりやや右)、糸紡ぎをしたり(右端)・・・ といったように、ごく日常的な仕事に取りかかったところです。

大運河にはゴンドラが浮かび、船頭たちが利用者を渡していますが、今はこのあたりにアカデミア橋が架かっています。

秀逸だと感じるのは、その色彩の使い分けによる光の効果です。

前景は主として栗色と赤レンガ色、中景はセピア色と暗緑色で、教会(鐘塔は1744年に崩壊)には何やら影が差し、朝の光による陰影の妙が楽しめます。

カナレットという画家は、キャリアの後半においてはややマンネリ化してしまい、その風景画も精彩を欠き、絵というよりも図のようになってしまった、などと言われていますが、この時期の彼の作品群には、この絵のように、ほのかな抒情をたたえた名画が多いように思われます。

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