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2012年3月 8日 (木)

ミッデルハルニスの並木道 (愛しの名画たち 1)

「ミッデルハルニスの並木道」(1689年、油彩、103.5×141㎝、ロンドン、ナショナル・ギャラリー)は、17世紀オランダの風景画家であるメインデルト・ホッベマ(1638~1709)の代表作であるばかりでなく、オランダ風景画全体を代表する傑作とも言われている有名な絵です。

概して私は風景画が好きなのですが、「愛しの名画たち」シリーズは、自分も実際にロンドンで観たことのあるこの傑作についてのコメントから始めたいと思います。

ナショナル・ギャラリーというミュージアムは、今はどうか知りませんが、私が訪れた当時は内部がやや薄暗く、確かにお目当ての名画群が展示されてはいるのですが、今一つ細部までは深く鑑賞しずらかったという記憶があります。

この「ミッデルハルニスの並木道」についてもそういう印象はぬぐいきれず、むしろ画集等に載っている写真でじっくり鑑賞するほうがより細かい点まで理解できそうな気がします。

Photo_2
それはさておき、この絵がマスターピースであることは事実であって、「透視図法」の好個の標本として美術の教科書等にもよく掲載されているほどです(実際、私が中学生だった時に渡された美術の副教材にもちゃんと載っていました)。

ホッベマという画家は、あのオランダ風景画の巨匠ロイスダールの弟子で、師のやや暗く、雄大で劇的な作風とは対照的に、明るく牧歌的な抒情的風景画を描いています。

ポプラ並木の間の小道は、ミッデルハルニスというオランダの小さな田舎町まで一直線に通じていますが、犬を連れた一人の猟師が猟銃を肩に担ぎ、お気楽そうな様子で(これは私の勝手な想像です)こちらに向かって歩いてきています。

左方のポプラの一部が傾いているのは、画面の平板さを避けるための工夫らしいのですが、とにかく画面の中央を占めているその高く伸びている並木は強い印象を与えます。

左上には鳥たちが悠然と飛び、右方の家の前では男女が語り合い、右手前では男性が農園で作業中。そして並木道には、海に面しているがゆえに土壌が砂混じりで軟らかいオランダらしく、車の轍が何本も残っています。

上半分は雲がたなびく雄大な自然、そして下半分は静穏な田園風景。彼方に望まれる、教会の塔の見える褐色の家並みの田舎町もどこか牧歌的な風情を醸しています。

水平と垂直のコントラストが際立つこの名作を見ていると、心が300年以上前のオランダののどかな田園風景の中に溶け込んでいくような気すらします。

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