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2012年3月28日 (水)

マグダラのマリアと寄進者(愛しの名画たち 2)

『マグダラのマリアと寄進者』(『聖マドレーヌによってとりなされるラージュ夫人―マドレーヌ・ド・ブルゴーニュの肖像』というタイトルでも呼ばれる。1490年 油彩、板 56×40㎝ パリ、ルーヴル美術館)は、小品ながら、この絵の作者であるジャン・エイ(ムーランの画家)の代表作ともみなされているものです。

長い間「ムーランの画家」という呼称で知られていたこの15世紀末に活躍したフランスの画家の実像については、様々に取りざたされてきましたが、最近になってようやくジャン・エイであると認められるようになりました。

フランス中東部のムーランにある大聖堂の祭壇画を描いた人物であるがゆえに「ムーランの画家」と呼ばれていたわけですが、その経緯は謎に包まれていて、フランス宮廷とブルボン家に仕えていたことだけが分かっています。

ところで、本作品については、私も実物をルーヴル美術館で見たことがあり、いささか親しみを感じているのですが、一応前もって写真を見ていたせいもあり、「これがあの絵か。けっこう小さいんだな」といった感想を持ったことを記憶しています。

Photo
しかし今、改めて写真でよく見てみると、いかにこの絵が優れているかがわかるような気がします。

言うまでもなく、右側で、左手にシンボルの香油壺を持っている若い女性がマグダラのマリアで、左側で拝跪しているご婦人がラージュ夫人ですが、二人の個性描写が秀逸であり、また衣服等の精緻を極めた描き方にはただただ感服するのみです。

寄進者とその守護聖者を描いた本作品は、三連祭壇画の左翼部分にすぎないのですが、ムーランの画家、つまりジャン・エイの並々ならぬ力量を窺わせてくれる、貴重な作品となっています。

当時のフランス人画家の多くがそうであったように、ジャン・エイもフランドル絵画の細密描写と巨匠フーケのスタイルを受け継いでいるようですが、その繊細で格調高い描法や優美で情緒的な人物表現などにおいて、それまでには見られない独特の高雅な味を出しているように思われます。

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